市民の森司法書士事務所
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実際に公証役場で遺言書を作る方法をご説明します。
この記事に書いてあること
・公証役場を決める
・遺言書の内容を決める
・必要書類を用意する
・公証役場と案文の打合せをする
・証人を決める
・作成当日
・大事に保管する
まずはどの公証役場で手続きを進めるかを決定しましょう。
基本的には最寄りの公証役場で良いと思います。
《公証役場とは》
公証役場とは、全国の各地に事務所がある、公的な書類を作成する役場のことです。
区役所や市役所などとは違い大勢スタッフがいるわけではなく、多くは1人から数人の公証人と、わずかな事務職員の方々がいる程度の規模です。
公証役場では遺言の作成だけでなく、契約書や会社の定款認証など、重要な手続きについての書類を取り扱っています。
《公証人てどんな人?》
公証人というのは法務大臣の任命により選ばれた、いわば公証役場の所長のような方です。遺言書の作成をするときには公証人本人が読み上げて署名をします。
職業的には公務員ということになるのですが、公証人のほとんどは裁判官や検事という立場で活躍をしており、一線を退いたあとに就任された方で、相当立派な方たちが多いです。
そういったわけで、公証人の方はご年配の方がほとんどです。
次に、遺言書の内容を決める必要があります。
最終的に公証人が携わってくれるといっても、どの財産をどうしたいのか、決めるのは遺言者自信です。作成する遺言が節税目的なのか、それとも子供がいない為の対策なのか、つくる理由はひとそれぞれですが、公証人がそこまで汲み取って作成してくれはしません。
公証人に対して「どうすれば節税になりますか?」とか、「誰に財産をあげるのが一番ですか?」などと聞きたいとしても、それは作る方が自分で考えるか、もしくは司法書士や税理士、弁護士などの専門家に相談して決めることです。
そういったわけで、公証人に依頼する前にある程度遺言書で残したい内容を決めておくことが肝心です。
公証役場で遺言書を作る際には、いくつか書類の用意が必要になります。
必要な書類は、財産の内容や財産を受け取る人(受遺者)の関係性、また公証人のその時の判断によって変わってきますが、概ね下記のとおりの書類が求められることがほとんどです。
・遺言を作る本人(遺言者)の印鑑証明書
・遺言者の戸籍
・遺言者と受遺者の関係がわかる戸籍
・不動産の登記簿
・不動産の評価証明書
必要書類は全て自分で取得する必要があります。(専門家に頼めば代理でとってくれます)
ただ、どのような書類が必要かは公証人が指示をくれますので、自分で一生懸命調べる必要はありません。
上記のような書類が必要な理由は、遺言書に記載する内容について住所や名前、続柄に間違いがないかどうかきちんと公証人が確認する必要があるためです。
もし不動産の表示や当事者の名前が間違っていたら、その遺言自体が目的を達せられないモノになってしまう場合があるので、そういったことを防ぐためです。
遺言書の内容が大体決まったら、ついに公証役場との案文打合せに入ります。
公証役場で証人の立会いのもと文書を完成させるのはまだ先です。当日までに事前の打ち合わせをしてきちんと文面を完成させておくことが一般的な流れです。
専門的な用語とか、法律的に正しい文書を知らなくても、内容さえ伝われば公証人がある程度文面を作ってくれますし、あまり変わった内容でなければ汎用の文体がありますので、そこはあまりこだわらなくても良いでしょう。
公証人に対して内容を伝える際は、箇条書きでもいいので書面にして渡したほうが確実です。また案文作成の際に、前もって揃えておいた必要書類のコピーなどを一緒に送りましょう。
次に、遺言書の作成日に立ち会う証人をどうするか決めます。証人は未成年者や相続人、遺言によって財産を譲受ける受遺者などはなることはできません。また受遺者の夫や妻、子や孫、親や祖父母もなれません。これを欠格事由と言います。
わかりやすく言うと、遺言で財産を貰う人の身内はNGということです。
ただ、遺言書を作成する場合の多くは、遺言者本人と受遺者で話し合って作られているケースであって、反対に、親族なのに遺言書で財産を受け取ることがなくなってしまった別の親族に頼むというのはあまり現実的ではありません。また友人、知人に頼むには、財産や家庭内の事情がわかってしまうためなかなか難しい面があります。
ですから、結局は全く家族と関係のない第三者に依頼するケースが多いと思われます。
このような場合は、費用が発生しますが公証役場に依頼して証人だけを手伝ってくれる第三者を役場から紹介してもらうことができます。但し、証人一人につき5000円の手数料がかかります。
なお、専門家(弁護士、司法書士など)に依頼した場合は、その専門家が証人の一人を担当し、もうひとりは事務職員などを使って追加費用がかからなくなる場合もあります。
当事務所では、遺言作成の際は、担当司法書士と事務職員がそれぞれ証人を務めますので、依頼者で探してもらう必要はありません。
さあ、ついに遺言書の作成日当日となります。前もって公証人の予定に合わせて日時を予約しておくことが一般的です。
予定通りの日時に実印、印鑑証明書、その他、公証人から求められた書類を持参して公証役場へ行きます。また、遺言書を作成する方は外出が困難な方も少なくありません。そういった場合は、出張費用がかかりますが、公証人から出向いてもらうことも可能です。
作成日の流れは、まず遺言者、公証人、証人2人の計4人が一室に揃います。この際、財産を譲受ける家族などが同席している場合は、一時的に退席してもらうことが多いです。
まずは公証人が、これまでに作成した案文を口頭で読み上げます。それを遺言者が最後まで聞き、自分の意向と相違なければ原本の署名欄に自署、押印(実印)をします。その次に証人が自署、押印(認印)をします。これで、遺言書が無事完成、となります。
実際に署名がなされた原本は遺言者に交付されるわけでなく、公証役場に保管されることになります。遺言者には、原本と相違ない「正本」という物が一通、また希望に応じて「謄本」(何通でも交付可能)が手渡されることになります。
正本、謄本をもらったあとは、大事に保管しておきましょう。
この際に、だれが保管しているかという問題がありますが、まずはご自身で一通持っておくべきでしょう。というのは、今後この遺言を見直したり変更したりする可能性があるからです。また、自分が亡くなった際に遺品整理をした人が見つけてくれる可能性があるからです。
また謄本を請求していれば、その分だけ自分以外にも保管してもらうことができます。もし遺言執行者を選任している場合は必ず渡しておきましょう。
それ以外には、財産を譲り受ける受遺者に渡しておくのもよいかと思います。